日々の生活において家庭から生じるゴミを一般廃棄物と呼びます。
それに対して、企業や事業活動から生じる廃棄物を産業廃棄物と呼びます。
この産業廃棄物を車両を使って処分場へ運搬する際は産業廃棄物収集運搬の許可が必要となります。
今回の記事ではそんな産業廃棄物収集運搬の許可申請について、ご自身で行う場合に知っておきたい必要な書類や許可の条件を踏まえながら、実際に許可を取得するまでの流れを解説します。
業廃棄物収集運搬許可申請を自分で行う際の流れは次のとおりです。
- 許可が取れる条件を満たしているか確認する
- 必要書類を集める
- 申請書をダウンロードして記入する
- 管轄の事務所に申請する
- 許可取得!
それではそれぞれのステップに分けて解説します。
許可が取れる条件を満たしているか確認する
まずは現時点で許可が取れる条件を満たしているか、満たしていない場合何をすればよいかを確認します。
産業廃棄物収集運搬の許可取得の条件は次の通りです。
- 産業廃棄物に関する講習を修了している事
- 事業を行うに足りる物理的基礎を有している事
- 適切な施設がある事
- 欠格事由に該当していない事
それでは一つずつ解説します。
産業廃棄物に関する講習を修了している事
許可を取得するにあたり、最も重要な項目がこちらの講習の受講となります。
産業廃棄物に関する事業を行う場合は、この産業廃棄物に関する受講が法律で義務付けられています。
収集運搬の許可申請を行う段階で、その受講を済ませておく必要があるため、受講がまだの場合はまずは申し込みを行いましょう。
産業廃棄物に関する講習は、、公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(通称:JWセンター)が主催しておりインターネットから申し込むことができます。
事業を行うに足りる物理的基礎を有している事
次は申請者の経済状況に関する条件となります。
物理的基礎と聞くと難しそうですが、要するに許可申請を行う会社が赤字や債務超過になっていないかという条件です。
そのような状況でなければこの条件はクリアとなります。
「もしかしたら条件を満たしていないかも?」と思った場合は、申請書の提出先に決算書を送って問い合わせるなどして、現時点で条件を満たしているか判断してもらいましょう。
適切な施設がある事
事業を行う上での施設が整っているかどうかを確認する条件です。
具体的には最低限次の4つの施設が必要となります。
- 事業を行う事務所
- 車両を駐車する駐車場
- 運搬するための車両
- 運搬する際に廃棄物を収容する容器
車両に関しては、最低限1台以上必要となります。
なお、車両はダンプやトラックでなく軽自動車でもかまいません。
収容する容器に関しては、運搬する廃棄物によって必要となる種類が異なります。
たとえば汚泥を運ぶ場合は専用のビニール袋が必要ですし、廃蛍光管を運ぶ場合は専用ケースが必要となります。
欠格事由に該当していない事
最後は、会社の役員が欠格事由に該当していないかという条件です。
欠格事由とは、それに該当してしまうと許可が取れなくなってしまう条件です。
産業廃棄物収集運搬業許可の欠格事由は次の通りです。
- 第七条第五項第四号イからチまでのいずれかに該当する者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(以下この号において「暴力団員等」という。)
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人がイ又はロのいずれかに該当するもの
- 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの
- 個人で政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条第5項第2号イからヘより引用
- 心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者として環境省令で定めるもの
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
- この法律、浄化槽法(昭和五十八年法律第四十三号)その他生活環境の保全を目的とする法令で政令で定めるもの若しくはこれらの法令に基づく処分若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項を除く。)の規定に違反し、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰ニ関スル法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
- 第七条の四第一項(第四号に係る部分を除く。)若しくは第二項若しくは第十四条の三の二第一項(第四号に係る部分を除く。)若しくは第二項(これらの規定を第十四条の六において読み替えて準用する場合を含む。)又は浄化槽法第四十一条第二項の規定により許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合(第七条の四第一項第三号又は第十四条の三の二第一項第三号(第十四条の六において準用する場合を含む。)に該当することにより許可が取り消された場合を除く。)においては、当該取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号、第八条の五第六項及び第十四条第五項第二号ニにおいて同じ。)であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
- 第七条の四若しくは第十四条の三の二(第十四条の六において読み替えて準用する場合を含む。)又は浄化槽法第四十一条第二項の規定による許可の取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に次条第三項(第十四条の二第三項及び第十四条の五第三項において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による一般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分(再生することを含む。)の事業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法第三十八条第五号に該当する旨の同条の規定による届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないもの
- ヘに規定する期間内に次条第三項の規定による一般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分の事業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法第三十八条第五号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、ヘの通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの
- その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第七条第五項第四号イからチより引用
必要書類を集める
許可取得の条件を満たすことが出来たら、次は申請に必要となる書類を集めます。
必要となる書類は、次の通りです。
- 駐車場の付近の見取図
- 車検証の写し
- 産業廃棄物の収集運搬に関する講習の修了証の写し
- 決算書の写し
- 法人税の納税証明書
- 確定申告書の写し
- 事務所及び事業場付近の見取図
- 定款の写し
- 履歴事項全部証明書
- 役員の登記されていないことの証明
- 役員の住民票の写し
他にも申請する都道府県によって、追加で必要となる書類が発生する場合があります。
申請書をダウンロードして記入する
必要書類を準備したら、次は申請書を入手して必要な事項を記載します。
なお、必要書類の収集と申請書の記載は同時並行で進めても良いでしょう。
申請書の様式は、申請先である各都道府県の県民事務所であることが多いです。
窓口で直接受け取ることもできますし、ホームページからダウンロードすることもできます。
愛知県の場合は、あいちの環境というページからダウンロードすることができます。
申請書には、申請者の情報や収集運搬に関する事業計画などを記載します。
ホームページにて記載例を載せているところも多いですし、わからなければ窓口に電話して聞けば教えてくれます。
管轄の事務所に申請する
申請書の記入が完了したら、準備した書類と併せて管轄の県民事務所へ申請します。
申請を行う際は、手数料として県証紙を81,000円分購入して申請書に貼り付けます。
都道府県ごとの管轄事務所は次の通りです。
許可取得!
申請から2ヶ月ほど経過し、内容に問題が無ければ産業廃棄物収集運搬の許可が取得できます。
産業廃棄物収集運搬の許可は、5年ごとに更新を行う必要がありますので、忘れないように管理しましょう。
いかがだったでしょうか、今回は産業廃棄物収集運搬の許可を自分で行う場合について解説しました。
「もっと具体的に手続きについて相談したい」「難しそうなので申請を丸投げしたい」という方は、筆者が運営しているホームページ「愛知の運送業許可ステーション」からお気軽にご相談ください。
運送業専門の行政書士が誠心誠意対応いたします。