ダンプ屋さんをやっていると「最近白ナンバーだと仕事を受けられない」「自社の重機が入っている現場でしか仕事ができない」「とにかく元請けから営業ナンバーにするよう言われる」といった悩みが無いでしょうか?
最近はゼネコンのコンプライアンス意識が上がっており、とにかく営業ナンバーを持っていないと仕事を発注しないという元請会社が増えてきました。
そしてダンプに営業ナンバーを付けるためには、一般貨物自動車運送業といういわゆる運送業の許可を取得する必要があります。
そこで今回は「そろそろ営業ナンバーにしようか」と考えている方のために、分かりやすく運送業の許可を取得する方法を解説します。
この記事を最後まで読めば、営業ナンバーをとるための流れが分かるだけでなく、現時点で許可が取れそうか、もう少し準備が必要か分かります。
営業ナンバーにするための条件
まずは営業ナンバーにするための運送業許可の条件を下記に載せます。
なお、「営業ナンバーを取得する=運送業の許可を取得する」と考えて大丈夫です。
- 事務所がある
- 駐車場(土場)がある
- 貨物車両(1ナンバーや4ナンバー)が5台ある
- 運転手が5人いる
- 運行管理試験に合格した方がいる
- 会社の預金や売掛金が1500万円~2000万円程度確保されている
この6つの条件について、少し詳しく解説します。
事務所がある
現在、ダンプ等の事業を行っている場合はおそらく「事務所」はあるかと思います。
そのため多くの方が、こちらの条件は当てはまるかと思います。
しかし今使っている事務所は、もしかしたら運送業の事務所としては登録できない可能性があります。
都市計画法という法律で、その建物の使用方法が決まっているからです。
管轄の役所に問い合わせて、事務所として使用して問題ない場所であれば、この条件はクリアです。
駐車場(土場)がある
ダンプを停めておくための駐車場もしくは土場についても必要となります。
会社で土地を借りているか、購入していれば問題ありません。
しかし、これも事務所と同じく運送業の駐車場としては登録できない可能性があります。
車両制限令という、駐車場出入口の道路幅に制限があるからです。
こちらについても、管轄の役所に申請をし、道幅に問題が無ければクリアとなります。
貨物車両(1ナンバーや4ナンバー)が5台ある
実際に営業ナンバーにする車両が5台以上必要となります。
全部ダンプで揃える必要はなく、プロボックスやハイエースのようなバン車も1台にカウントできます。
そのため、3台しかダンプが無いという場合でも、残りの2台は別の小型車を用意することでこの条件をクリアできます。
車両については、自社所有でなくてもリース車両でも大丈夫です。
運転手が5人いる
ダンプ等の車両を運転するドライバーさんが5人以上必要となります。
会社として雇用していれば問題ありませんが、日雇いの方は1人にカウントできないので注意が必要です。
運転手ついては、正社員である必要はなく、アルバイトやパートの方でも大丈夫です。
運行管理試験に合格した方がいる
営業ナンバーにするためには、最低1人運行管理者という役職が必要となります。
運行管理者は、運行管理者試験という国家試験に合格することでなることができます。
運行管理者試験は毎年3月と8月に開催されるため、営業ナンバーを検討している方は忘れないように申し込みをしましょう。
会社の預金や売掛金が1500万円~2000万円程度確保されている
最後の条件は、資金に関する条件です。
営業ナンバーを取得するためには、当面の運転資金として1500万円~2000万円の資産があることを証明しなければなりません。
この金額については、ダンプのリースが残っているか、事務所や駐車場の賃料などによって前後します。
営業ナンバーを取得するための流れ
営業ナンバーにするための条件はいかがだったでしょうか?
8割くらい当てはまっていれば、もう営業ナンバーの取得はすぐそこです。
次に営業ナンバーを取得するための大まかな流れを解説します。
次のような順番で進めていきます。
- 運送業許可取得の条件を満たす
- 必要となる書類を集める
- 申請書を作成し、運輸局に提出する
- 法令試験を受けて合格する
- 営業ナンバー取得!
こちらも一つずつ解説します。
運送業許可取得の条件を満たす
一番最初は、先ほど解説した許可取得の条件を満たすための準備を行います。
車両が足りなかったらリースを組んだり、資金が足らなければ銀行に相談にいったり、運行管理者試験の申し込みをしたりといった準備です。
また、事務所や駐車場が運送業の施設として登録できるかどうかの確認も、ここで行います。
条件を8割ほどクリアしたと思ったら、次のステップとなる必要書類の収集に移行します。
必要となる書類を集める
運送業の許可を取得するためには、様々な書類を集めなければなりません。
具体的には、次の書類が必要となります。
- 定款の写し
- 貸借対照表の写し
- 履歴事項全部証明書の原本
- 役員の履歴書
- 運行管理者の資格者証写し
- 運行管理補助者資格者証写し
- 整備管理者の資格者証写し
- 車両の使用権原を証明する書類(車検証、リース契約書など)
- 営業所・車庫の使用権原を証明する書類(登記簿謄本、賃貸借契約書など)
- 営業所・車庫の案内図、求積図、写真
- 車両制限令による証明願または幅員証明書
- 利用運送契約書写し
- 残高証明書
こうして一覧にしてみると、かなりの量であることが分かります。
こちらも8割ほど集められたら、次のステップに行きましょう。
申請書を作成し、運輸局に提出する
いよいよ役所に対して運送業の許可申請を行います。
正式には一般貨物自動車運送事業経営許可申請と言い、申請先は管轄の運輸局です。
申請書の様式は、運輸局の窓口で受け取るか、ホームページからダウンロードすることができます。
申請書には事業の計画や役員の略歴、事業資金の計算等さまざまな情報を記載する必要があります。
さらに集めた必要書類を添付し、実際にに運輸局に申請する時には厚さ数センチとなるような大容量となります。
申請後は運輸局によって審査され、審査が完了して許可が下りるまでおよそ4~5ヶ月かかります。
法令試験を受けて合格する
運輸局への申請が完了すると、今度は法令試験という運送事業に関する法令についての試験が行われます。
この試験は、申請した月の翌奇数月に開催され、常勤の役員様が受験し合格する必要があります。
法令試験は2回受験のチャンスがありますが、万が一2回とも不合格となると、申請取り下げとなってしまいます。
取り下げとなってももう一度申請できますが、審査期間がリセットされてしまうため、許可まで余分に時間がかかってしまいます。
営業ナンバー取得!
申請から4~5ヶ月経過し、法令試験に合格すると運送業の許可が取得できます。
許可を取得すると、白ナンバーから営業ナンバーへ変更するための書類である「事業用自動車等連絡書」が発行されます。
この書類を使い、陸運局でナンバープレートを交換すれば、晴れて営業ナンバー取得完了です!
まとめ
いかがだったでしょうか、今回はダンプを営業ナンバー(緑ナンバー)にするための方法について解説しました。
正直、疑問点がたくさんあったと思います。
運送業の許可申請は、役所に対する許可申請をするのは初めてという方は、正直かなり苦労されると思います。
そのような場合は、営業ナンバーの取得を行政書士にお願いするというのも一つの手です。
この記事の筆者は運送業許可を専門に扱っている行政書士で、申請書の作成だけでなく「事務所・駐車場が登録できるかどうかの確認」や「法令試験の対策」など、総合的なサポートをすることができます。
「もっと具体的に手続きについて相談したい」「運送業許可の手続きを丸投げしたい」という方は、筆者が運営しているホームページ「愛知の運送業許可ステーション」からお気軽にご相談ください。
運送業専門の行政書士が誠心誠意対応いたします。