運送業の許可を取得するを行う上で、どの程度資金を用意すればよいのか気になる方も多いと思います。
費用がどの程度かかるかどうかが、運送業の許可を取得する際に一番ネックになる部分だからです。
今回は、運送業の許可を取得する際に必要な資金について、徹底解説していきます。
必要となる資金
結論として、運送業の許可を取得する際は1500万円~2500万円程度資金が必要だといわれております。
しかし、この金額はあまりに幅がありますよね。
何しろ下限と上限の金額が1000万円も離れています。
しかも、絶対に2500万円を超えないかといえば、全くそんなことはありません。
その逆もしかりです、1500万円を下回ることだってあるのです。
資金要件の根拠
それではまずこの必要資金の根拠がどこに記載されているかというと、国土交通省が出している公示です。下記に必要となる資金の内訳を記載します。
人 件 費 | 役員報酬を含む6ヶ月分 |
燃料油脂費及び修繕費 | 燃料油脂費及び修繕費のそれぞれ6ヶ月分 |
車 両 費 | 取得価格(分割の場合は頭金及び1ヶ年分の割賦金)又は1年分のリース料 |
建 物 費 | 取得価格(分割の場合は頭金及び1ヶ年分の割賦金)又は1年分の賃借料及び敷金等 |
土 地 費 | 取得価格(分割の場合は頭金及び1ヶ年分の割賦金)又は1年分の賃借料 |
器具、工具什器、備品等 | 取得価格(割賦未払金を含む。) |
保 険 料 | 自賠責保険料、任意保険料及び危険物を取扱う運送の場合は、当該危険物に対応する賠償責任保険料のそれぞれ1年分 |
各 種 税 | 自動車税及び自動車重量税のそれぞれ1年分、環境性能割及び登録免許税等 |
そ の 他 | 道路使用料、光熱水料、通信費、広告宣伝費等の2ヶ月分 |
1500万円~2500万円というおおよその数字になる理由がお分かりでしょうか。
そう、許可を取ろうとする事業者によって、全く必要となる金額が違うのです。
たとえば、「車両費」ひとつとっても、大型なのか小型なのか、リースなのか自社所有なのか、新車なのか中古なのかで金額が全く変わってきます。
つまり、この必要資金というのは、それぞれの事業計画を書き出し、正確な数字は分からないのです。
とは言っても、経験上おおよその目安はあります。
車両が全て自社所有であり、営業所・車庫の賃料がかからない場合であれば、1500万円~2000万円程度。
車両にリース残債があり、営業所・車庫が賃貸の場合で、2000万円~2500万円程度。
車両が大型車であり、かつ新車リースの場合は3000万円以上くらいになるだろうと考えております。
資金があることを証明する方法
それでは必要な資金が計算できたとして、その資金が存在することをどのように証明するのでしょうか。
国土交通省が出している公示を見てみましょう。
資金の調達については、次に掲げる書類の提出により判定する。
中運局公示第277号より抜粋
(ア)預貯金額の確認について
申請日時点及び処分までの適宜の時点の残高証明書等の(提示
又は)写しの提出をもって確認するものとする。
(イ)預貯金以外の流動資産について
中部運輸局長が認める場合にあっては、預貯金以外の流動資産も含
めることができることとする。この場合、預貯金以外の流動資産の
額については申請日時点の見込み貸借対照表等をもって確認するも
のとする。
要約すると、現金があることの証明は銀行が発行する「残高証明書」
流動資産(売掛金など)があることの証明は、税理士さん等が作成する「見込み貸借対照表」にて証明するという事です。
そして実務ではほとんどが「残高証明書」にて証明します。
なぜ「見込み貸借対照表」を使わないかというと、運送業の許可を申請する時点では十分な流動資産がない場合が多いという事。
常に一定の流動資産がある場合は、すでにほかの事業をしている可能性が高く、そのような事業者の場合は、会社の預金も十分にある場合が多いので、わざわざ「見込み貸借対照表」を作ってもらう必要がないという事です。
いつまで資金が必要か
それでは証明する方法が分かったところで、いったいこの資金はいつまで銀行預金として持っておく必要があるのでしょうか。
公示によれば、「自己資金が、申請日以降許可日までの間、常時確保されていること」とあります。
つまり申請~許可までの4~5ヶ月の間、ずっと持っておく必要があるという事です。
きついですね、そもそも申請の時点で事務所や車庫の契約は済んでいる必要があるので、それぞれの賃料が毎月かかっている場合もあります。
数千万円を半年近くの間キープするというのは、これから事業を始める時期にはなおさら難しいことだと思います。
それでも何とか捻出するしかありません。
ここで裏ワザとまではいいませんが、少しでもこの資金を用意しやすくする情報をお伝えします。
先ほど、申請~許可までの4~5ヶ月の間、ずっと持っておく必要があるとお伝えしましたが、実際に「残高証明書」を提出するタイミングは経験上2回だけです。
タイミングは「申請時」に1回、申請から3か月ほどで運輸局から指示がある「補正時」に1回の合計2回です。
ということは、2回目の残高証明書を提出してしまえば、仮にその後に資金が減っていたとしても、もう残高証明書を提出することはないのですから
運輸局にはわからないという事になります。
もちろんこれはリスクがあります。ないとは思いますが3回目の残高証明書の提出を求められる可能性もゼロではないですから。
また、この必要な資金については出どころは問われません。
銀行の融資でも、親類・友人からの借り入れでも、タンス貯金であっても、お金が法人の銀行口座に入っていれば、現時点では大丈夫という事になります。
先ほどから「現時点では」とお伝えしているのは、運送業の許可を問わず、行政の審査方法というのは時代によって変わっていくからです。
まとめ
様々な情報があったのでまとめますと、
必要な額:1500万円~2500万円。ただし申請者によって大きく異なる
証明する方法:主に銀行が発行する残高証明書
必要な期間:申請~許可までの4、5ヶ月間。ただし2回目の残高証明書を提出してしまえば、そのあと資金が減っていても実質わからないことが多い
調達先:問われない
いかがでしたでしょうか。
必要な資金をどうするかという問題は、運送業許可を取得するうえで一番難しい部分です。
仮に申請先の運輸局に聞いたとして、答えを教えてくれるような問題でもありません。
運送業の許可を取りたいけどお金の部分が心配という方は、お気軽にお問い合わせください。
ブログでは語り切れない部分も含めて、ご相談に乗らせていただきます。
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