運送業許可に必要な車両制限令の取得方法について解説!

運送業の許可を取得する際には、駐車場の前面道路の道幅を証明する「車両制限令による証明願」が必要となります。

この車両制限令という単語は、普段生活していて触れるような書類ではないため、初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。

当然、どのように取得したらいいか分からないという方も多いと思います。
今回はそんな「車両制限令による証明願」についての概要や、取得方法について解説します。

車両制限令による証明願とは

運送業の許可を取得するためには、使用する施設(営業所や車庫、車両など)について、様々な条件をクリアする必要があります。

その中の車庫の立地条件として、「出入口の前面道路の幅員が車両制限令に適合するものであること」が求められています。

この車両制限令に適合していることを証明する書類のことを「車両制限令による証明願」と呼びます。

地域による名称の違い

先程から解説している「車両制限令による証明願」ですが、実は地域によって名称が微妙に異なる場合があります。

例えば、名古屋では「車両制限令に係る道路幅員証明」であったり、岐阜の方では「車両制限令に関する証明」であったりと微妙に名称が異なるのです。

また、地域によっては車両制限令による証明の制度そのものが無い場合や、代わりに道路の幅そのものを証明する「幅員証明書」の発行のみを行っている地域もあります。

この「幅員証明書」については、車両制限令に適合している証明にはならないため、管轄の運輸局と相談しながら手続きを進めていく必要があります。

車両制限令による証明願の取得方法

車両制限令の制度がどのようなものか分かったところで、実際に取得する方法を解説します。
主に次のような手順で取得します。

  1. 取得すべき道路を確定する
  2. 道路を管轄する役所に問い合わせをする
  3. 様式を入手し、必要項目を記載する
  4. 添付書類を準備・作成する
  5. 役所に対して申請をする

それでは一つずつ解説します。

取得すべき道路を確定する

まずは、どの道路にて車両制限令による証明願(以下、車両制限令と言います。)を申請するか確定させます。

そもそも車両制限令は道路ごとに申請し、申請する道路を間違えるとせっかく取得した車両制限令が無駄になってしまいます。

車両制限令を申請すべき道路は「車庫から出発する車両が一番最初に接触する公道」です。
文字だけみると分かりずらいので、下記の図を参考にしていただければわかりやすいかと思います。

上の図のように、単に車庫の前面道路が公道であればその道路で取得しますし、下の図のように前面道路が私道であれば、その先の公道で取得します。

道路を管轄する役所に問い合わせをする

車両制限令を取得する道路が決まったら、その道路を管轄する役所に申請方法などを電話で問い合わせます。

その道路が県道か市道かによって問い合わせ先が異なりますが、分からなければとりあえず道路がある市役所に問い合わせてみます。

代表電話で「道路に関することで問い合わせをしたい」と言えば大抵「土木課」や「道路管理課」といった部署につないでくれるはずです。

そので道路の位置を伝えてみて、市道であればそのまま話が進みますし、県道であれば別の問い合わせ先を教えてくれるでしょう。

そこで何を問い合わせるかというと、主に次の4つです。

  • 様式の入手方法
  • 申請方法(来所が必要か、郵送でよいか)
  • 必要となる書類は何か
  • 手数料は必要か

ここまで確認できたら、一度電話を切って次のステップに進みます。

様式を入手し、必要項目を記載する

先程車両制限令の様式の入手方法を確認したと思いますので、様式を入手します。
大抵、役所のホームページからダウンロードするか、メールやFAXで様式を送るといった形だと思います。

様式を入手したら、一つずつ項目を埋めていきます。
下記の様式は愛知県春日井市の様式ですが、他の市区町村も似たような項目だと思われますので、参考にしていただければ幸いです。

もし記載方法がわかならければ、先ほど問い合わせた部署にもう一度問い合わせれば、記載方法について教えてくれると思います。

添付書類を準備・作成する

車両制限令を申請する際は、申請する内容を証明する書類である「添付書類」の提出を求められる場合が多いです。

先程の申請書を見てみると、一番下に添付書類の記載があるのがお分かりでしょうか。
下記の4種類の添付書類を用意する必要があるという事です。

  1. 位置図
  2. 申請場所の公図写し
  3. 自動車置場付近の道路状況詳細図(平面図)
  4. 車検証写し

それぞれ参考画像と一緒に簡単に解説します。

位置図

自動車を駐車する車庫の位置を示した図面です。
1から手書きする必要はなく、Googleマップを張り付けたものを用意すればそれで大丈夫な場合が多いです。

申請場所の公図写し

公図とは、法務局で取得することができる公的な地図の事です。
最寄りの法務局へ行き、取得の手続きを行いましょう。

自動車置場付近の道路状況詳細図(平面図)

こちらはその名の通り、申請場所である車庫付近の状況が分かる図面です。
どこかで取得できるような書類ではないので、下記のような感じで自分で作成する必要があります。

車検証写し

駐車場に停めるトラックの車検証の写しを添付します。

一般的には、一番規格が大きい車両の車検証を添付しますが、役所によっては駐車する車両すべての車検証が必要な場合もありますので、役所に問い合わせるのが一番確実です。

役所に対して申請をする

申請書の様式を記載し、添付書類の準備が出来たら役所に対してそれらの書類を提出し、申請します。

申請は郵送でよい場合がほとんどですが、たまに窓口までもっていく必要がある場合もありますので、こちらも役所に申請方法を確認しましょう。

一般的に、申請した車両に対して道路の道幅に問題が無ければ、申請から2週間前後で決裁となり、車両制限令を取得することができます。

取得した車両制限令は、運送業許可申請の際に必要となりますので、大切に保管しておきましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか、今回は運送業許可に必要な車両制限令の取得方法について解説しました。

もっと具体的に手続きについて相談したい」「運送業許可の手続きを丸投げしたい」「運送業許可申請は自分でやるので、車両制限令の取得だけお願いしたい」という方は、筆者が運営しているホームページ「愛知の運送業許可ステーション」からお気軽にご相談ください。

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