運送業許可要件の一つ、車庫について徹底解説!

運送業を行う上で、車庫の立地は運送効率を左右する、重要なポジションとなります。
しかしながら運送業に適した、ちょうどよい広さの車庫を見つけるのはなかなか難しいですね。
もしそのような場所を見つけたら、他に取られてしまう前にすぐに契約したいと思うかもしれません。


しかし、運送業の車庫として利用するつもりであれば、すぐに即決するのは危険です。
契約をするのは、その場所が本当に認可を取得できる車庫であるか、調査してからのほうが良いでしょう。
今回は、運送業の認可が下りる車庫の条件について、徹底解説していきます。

営業所からの距離

車庫の候補地が見つかったらますは、拠点となる営業所からの距離を調べましょう。
なぜかというと運送業の営業所と車庫の距離は、直線で一定の距離を超えてはならないのです。
愛知県をはじめとする中部運輸局の管轄内の地域では、営業所と車庫の距離は直線距離で10kmを超えてはいけないと定められています。
そして、この営業所と車庫間の距離は地域によって様々です。
具体的な距離は、「営業所の要件を解説」という記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
なお、最も厳しい地域の直線距離で5kmなので、この距離を超えなければどの地域でもクリアです。

土地の地目を確認

営業所からの距離がクリア出来たら、土地の登記簿謄本を取得して「地目」を確認しましょう。
仮に地目が「田」や「畑」といった農地である場合、そのままの状態で車庫とすることはできません。
農地転用といって、「地目」を農地から変更する申請が別途必要となります。
この農地転用は、簡単に届を出すだけで完了するものから、何か月もかけて許可を得るものまで様々です。
農地だと分かった時点で、別の候補地を探すか、この土地が良い場所である場合は専門の行政書士などに
相談してみるのがよいでしょう。

用途地域を確認

これは車庫が建物である場合に関係する場合が多いです。
青空駐車場ではなく、屋根があるタイプの車庫の場合は、建物に該当するので都市計画法の用途地域の制限を受けます。
用途地域の一覧は下記のとおりです。

第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
田園住居地域
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域

建築基準法別表第二より抜粋

この中で、基本的に下記の用途地域には屋根付きの車庫を設けることができません。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 田園住居地域

なお、下記の地域であっても、床面積300㎡を超えるものや、3階以上の場合はNGです。

  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域

車両制限令に抵触していないか確認

ここまでクリアすれば、あとは最後の難関「車両制限令」を確認しましょう。
ところで、車庫の目の前の道路は、5.5m以上ないといけないと聞いたことはないでしょうか?
このルールがいわゆる車両制限令なのですが、この5.5mというのは正確な数字ではありません。
ここで車両制限令の根拠となる条文を見てみましょう。

1 市街地を形成している区域(以下「市街地区域」という。)内の道路で、道路管理者が自動車の交通量がきわめて少ないと認めて指定したもの又は一方通行とされているものを通行する車両の幅は、当該道路の車道の幅員(歩道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない道路で、その路肩の幅員が明らかでないもの又はその路肩の幅員の合計が一メートル未満(トンネル、橋又は高架の道路にあつては、〇・五メートル未満)のものにあつては、当該道路の路面の幅員から一メートル(トンネル、橋又は高架の道路にあつては、〇・五メートル)を減じたものとする。以下同じ。)から〇・五メートルを減じたものをこえないものでなければならない。
2 市街地区域内の道路で前項に規定するもの以外のものを通行する車両の幅は、当該道路の車道の幅員から〇・五メートルを減じたものの二分の一をこえないものでなければならない。
3 市街地区域内の駅前、繁華街等にある歩行者の多い道路で道路管理者が指定したものの歩道又は自転車歩行者道のいずれをも有しない区間を道路管理者が指定した時間内に通行する車両についての前二項の規定の適用については、第一項中「〇・五メートルを減じたもの」とあるのは「一メートルを減じたもの」と、第二項中「〇・五メートル」とあるのは「一・五メートル」とする。

車両制限令 第5条より引用

簡単に要約すると、一方通行でなく、普通の交通量の道路は【(道路幅-0.5m)÷2】で求められた値以下の車両幅のトラックしか通行できないという事です。


まだわかりづらいので、先ほど出てきた5.5mを例にして計算してみます。
(5.5m-0.5m)÷2を計算すると、「2.5m」という数字が出てきました。
つまり車両の幅が2.5mまでのトラックであれば、問題なく通行できるという事です。
さらに特殊車両でない限り、車両の幅は2.5mに収まるように作られていますので「5.5m」という数字が独り歩きしたのだと思われます。

ですが実際は、「2.2m」や「2.3m」の幅のトラックもあるわけで、そうなると「5.5m以上ないといけない」というのは、大型トラックを使用する事業者のみ当てはまるといえます。
さらに、この方程式はあくまで「普通の交通量の道路」の話で、実際は一方通行の道路や極端に交通量が少ない道路もあります。
その場合であれば、車両制限令5条の2項ではなく1項が適用され、【道路幅-0.5m】または【道路幅-1.5m】という計算式が適用され、道幅が狭くてもクリアする条件が緩和されます。

さらに極めつけは、この車両制限令に抵触するか否かを判断するのは、その道路を管理する市町村の道路管理者です。つまり道路管理者が「良い」といえば、数字上は車両制限令をクリアしていなくても、適法に通行することができます。こうなれば運輸局としても自治体の意見を尊重するため、車両制限令の件はクリアとなる場合が多いです。

どうでしょう、道幅が5.5mないからといって諦めるのは勿体ない気がしませんか?

まとめ

いかがでしたでしょうか。
以上のように車庫として認可を得ることができる物件は、それなりの条件が付いて回ります。
特に車両制限令については、正しい知識がないと、好条件の物件をみすみす逃してしまうというこにも
なりかねないくらい複雑です。
そしてこういった例外的な取り扱いは、その分野に精通した専門の行政書士に頼むのが一番です。

「この物件は認可がおりそうな物件か?」という問い合わせだけでも大丈夫です。
運送業の車庫について、お手続きを検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

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愛知の運送業許可ステーション