運送業を行う上で、営業所をどのような場所に設けるべきか、一度は悩まれたことがあると思います。
営業所の立地は、効率的な事業を行う上でとても重要になるケースが多いからです。
しかし、運送業の営業所は設けられる場所と、設けられない場所が法律によって決まっています。
さらにその場所を営業所とするためには、運輸局に申請をして認可を得る必要があります。
今回は、その認可を得るためにどのような事に気を付ければよいのか具体的に見ていきましょう。
車庫との距離について
営業所としたい場所が見つかったら、まず最初に車庫からの距離を調べましょう。
なぜかというと運送業の営業所と車庫の距離は、直線で一定の距離を超えてはならないのです。
具体的な距離は下記のとおりです。
北海道運輸局管内
営業所の位置 | 車庫までの直線距離 |
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札幌市内 | 10km |
札幌市以外の地域 | 5km |
北陸信越運輸局管内
営業所の位置 | 車庫までの直線距離 |
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新潟県、長野県 | 5km以内 |
富山県、石川県 | 10km以内 |
東北運輸局管内
営業所の位置 | 車庫までの直線距離 |
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青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県 | 5km以内 |
関東運輸局管内
営業所の位置 | 車庫までの直線距離 |
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東京都(特別区)、神奈川県(横浜市および川崎市) | 20km以内 |
東京都(特別区を除く)、神奈川県(横浜市および川崎市を除く)、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、山梨県 | 10km以内 |
中部運輸局管内
営業所の位置 | 車庫までの直線距離 |
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愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、福井県 | 10km以内 |
近畿運輸局管内
営業所の位置 | 車庫までの直線距離 |
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滋賀県(大津市および草津市) 京都府(京都市、宇治市、城陽市、向日市、長岡京市、八幡市、乙訓郡、久世郡、京田辺市) 大阪府(下記市町村以外の都市) 兵庫県(神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、芦屋市、伊丹市、加古川市、宝塚市、高砂市、川西市、加古郡) 奈良県(奈良市、大和郡山市、天理市、橿原市、生駒市、磯城郡のうち田原本町) 和歌山県(和歌山市および海南市) | 10km以内 |
滋賀県(上記市町村を除く) 京都府(上記市町村を除く) 大阪府(貝塚市、泉佐野市、泉南市、豊能郡、泉南郡並びに南河内郡のうち太子町、河南町及び千早赤阪村を除く) 兵庫県(上記市町村を除く) 奈良県(上記市町村を除く) 和歌山県(上記市町村を除く) | 5km以内 |
中国運輸局管内
営業所の位置 | 車庫までの直線距離 |
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広島県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県 | 5km以内 |
四国運輸局管内
営業所の位置 | 車庫までの直線距離 |
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香川県、愛媛県、徳島県、高知県 | 5km以内 |
九州運輸局管内
営業所の位置 | 車庫までの直線距離 |
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福岡県(北九州市および福岡市)、熊本県(熊本市) | 10km以内 |
福岡県(北九州市および福岡市を除く)、熊本県(熊本市を除く)、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県 | 5km以内 |
沖縄総合事務局管内
営業所の位置 | 車庫までの直線距離 |
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沖縄県 | 5km以内 |
このように、かなり細かく地域によって定められています。
物件を契約してから、「車庫との距離が遠くて認可がおりなかった」ということがないよう、一番最初に調査しましょう。
用途地域の制限について
車庫からの距離がクリアできたら、次に用途地域を調べましょう。
用途地域というのは、簡単にいうとその地域に建築できる建物やその用途を定めた法律です。
下記に用途地域の一覧を載せておきます。
第一種低層住居専用地域
建築基準法別表第二より抜粋
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
田園住居地域
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域
この中で、基本的に下記の用途地域には営業所を設けることができません。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 田園住居地域
なお、第二種中高層住居専用地域でも、床面積1,500㎡を超えるものや、3階以上の場合はNGです。
また、事務所でここまで広い建物は考えにくいですが、第一種住居地域でも床面積3,000㎡を超える場合も営業所を設けることができません。
市街化調整区域について
用途地域を調べた結果、上記のどれにも当てはまらず「市街化調整区域」である場合もあります。
この場合は、営業所を設けることは難しいです。
無理ではなく、難しいと記載している理由は、営業所をトレーラーハウスとする場合は、可能な場合があるからです。
また、既存宅地といって昔から宅地であった場所は、自治体に許可を得ることによって事務所を建築することができる場合があります。
しかし、この2つは例外であり基本的に市街化調整区域では運送業の営業所を設けることはできないので、どうしてもその土地にこだわる理由がないのであれば、次の候補地を探したほうが良いかもしれません。
営業所の広さについて
現状において、営業所の広さは具体的な指定がありません。
しかし、一般的な事務作業が可能であることは求められますので、休憩室と合わせて6畳程度の広さが必要であるというのが通説です。
また、営業所と休憩施設を別の部屋にする必要があるかという部分も、気になるところだと思います。
結論、これは管轄する運輸局によります。
特に一緒の部屋で問題ないという見解の運輸局もあれば、パーティションで明確に区分すべきという見解もあります。
なのでこの部分は、事前に運輸局に問い合わせをする必要があることを覚えておきましょう。
まとめ
以上のように、運送業の営業所としての条件は一つ一つクリアしていけば、判断することが可能です。
しかし、慣れていない場合は思わぬ落とし穴にはまり、認可が下りない物件を契約してしまうこと実際にあります。
そうならないためにも、やはりこういった手続きは専門家に頼むのが、確実でかつ、早いです。
「この物件は認可がおりそうな物件か?」という問い合わせだけでも大丈夫です。
運送業の営業所について、お手続きを検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。
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