運送業を始める際に必要となる一般貨物運送業許可ですが、許可取得後にどのような手続きが必要となるのでしょうか?
今回は、運送業許可を取得した後、最低限行うべき手続きについて解説していきます。
更新や変更手続きについて
結論、一般貨物運送業の許可に更新はありません。
一度取得してしまえば、取り消し処分などにならない限り、許可は存続し続けます。
ただし、許可取得後に営業所の位置が変わったり、会社の役員が変更となった場合などは、その都度変更に関する申請を行う必要がありますので、忘れないようにしましょう。
なお、類似する許可として産業廃棄物を運ぶ際に必要な「産業廃棄物収集運搬業許可」や貸切バス事業を行う際に必要な「一般貸切旅客自動車運送業許可」については、5年の許可期限があり更新を行う必要があるので注意しましょう。
また、運送業の許可を取得した後の流れとしては、次のような順序で進んでいきます。
- 許可交付式にて許可証受け取り
- 運行管理者・整備管理者の選任届提出
- 運輸開始前確認の提出
- ナンバー変更・自動車任意保険切り替え
- 運輸開始届・運賃料金設定届の提出
- その後事業に変更があり次第、申請や届出
許可交付式
許可が取得できると、中部地方では各運輸支局にて許可証の交付があります。
会社の代表者等が出席を求められ、許可証の交付と今後の運営に関する注意点などの説明が、職員から1時間程度あります。
なお、「交付式」というのは通称名であり、地域によってその呼び方は違うようです。
また、許可交付式自体行わない地域もあるようです。
運行管理者・整備管理者の選任届提出
次に「運行管理者と整備管理者はこの人にします」という意味の選任届を提出します。
この選任届には、各管理者の資格者証が必要となります。
運行管理者選任届には「運行管理者資格者証」
整備管理者選任届には「整備士資格者証」もしくは「整備管理者選任前研修終了証」を添付します。
提出後は控えが返ってきますので、会社で大切に保管しておくようにしましょう。
運輸開始前確認の提出
運輸開始前確認とは、運送業を行うにあたって、その準備ができていることを証明するための書類です。
会社として社会保険に加入したことを証明する書類や、ドライバーが健康保険や労働保険に加入したことを証明する書類を添付します。
また、運行管理者・整備管理者選任届のコピーの提出するため、同じ日に提出することをお勧めします。
この書類を提出することで、車両を緑ナンバーに変更するための書類である「事業用自動車等連絡書」が発行されます。
ナンバー変更・自動車任意保険切り替え
発行された「事業用自動車等連絡書」を使って、運送業の営業所を管轄する陸運局にて、ナンバープレートを事業用に変更します。
事業用になると、車検証も改めて発行されますので、トラックに常備しておくようにしましょう。
緑ナンバーに変更出来たら、保険屋さんで自動車任意保険の種別を自家用から事業用に変更します。
変更が完了したら、変更後の保険証券が発行されますので、営業所で保管します。
なお、保険証券を発行するのに時間がかかり、すぐに運送業を開始したい場合は、付保証明という変更後の保険内容が載っている書類を送ってもらうとスムーズです。
運輸開始届・運賃料金設定届の提出
5台分のナンバー変更が終わり、保険の切り替えが完了したら、晴れて運送業を開始することができます。
そして運送業を開始したら、「運輸開始届」という書類を提出する必要があります。
運輸開始届には、変更後の車検証のコピーと変更後の自動車任意保険証券(まだない場合は付保証明書)のコピーを添付する必要があります。
また「運賃料金設定届」という運賃の定め方を決めた書類も提出する必要があり、運輸局が出している雛形をそのまま使用しても良いですし、独自に定めても良いです。
この2種類の書類を提出することにより、一旦運送業の許可取得に関する作業がすべて完了となります。
その後事業に変更があり次第、申請や届出
その後運送業を営んでいく上で、最初に申請した事業内容から変更が生じることがあると思います。
例えば増車をしたり、営業所・車庫の位置を変更したり、役員が増えたりと様々です。
そのような場合は、その都度変更に関する申請を、管轄の運輸支局に対して行う必要があります。
下記に行う必要がある手続きをおまとめします。
必ず必要となる手続き
下記の手続きについては、一般貨物運送業の許可を取得してる事業者全員に提出義務がある書類となります。
仮に輸送実績が0だった場合でも提出が必要となるので注意が必要です。
また、提出先は運送業の営業所を管轄する各都道府県の運輸支局となります。
手続きの名称 | 提出の期限 | 備考 |
---|---|---|
実績報告書の提出 | 毎年7月10日 【貨物自動車運送事業報告規則第2条】 | 前年4月1日から3月31日までの期間に かかる運送事業実績や事故状況を提出 |
事業報告書の提出 | 会社の決算日から100日以内 【貨物自動車運送事業報告規則第2条】 | 直近事業年度の財務状況等を報告書として 決算書の一部を添付し提出 |
変更があった場合のみ必要となる手続き
下記の手続きについては、一般貨物運送業の許可を取得してる事業者で「必要となるタイミング」に記載する事由が発生した際に、提出する必要があります。
また、提出先は運送業の営業所を管轄する各都道府県の運輸支局となります。
手続きの名称 | 提出の期限 | 必要となるタイミング |
---|---|---|
増減車届 | 車両の増減前 【貨物自動車運送事業法施行規則第6条2項】 | ・車両の増減をしようとする時 |
事業計画変更届 | 変更後遅滞なく 【貨物自動車運送事業法施行規則第7条2項】 | ・主たる事務所の名称、位置の変更があった時 ・営業所の名称の変更があった時 ・利用運送の保管施設の変更があった時 ・利用する事業者の概要の変更があった時 |
施行規則に基づく変更届 | 変更後遅滞なく 【貨物自動車運送事業法施行規則 44 条 1 項】 | ・会社の住所、名称の変更があった時 ・会社の役員の変更があった時 |
運賃及び料金 (設定・変更)届出書 | 変更(設定後)30日以内 【貨物自動車運送事業報告規則第2条の2】 | ・運賃料金を変更した時 ・燃料サーチャージを設定した時 |
事業計画変更認可申請 | 変更しようとするとき 【貨物自動車運送事業法第9条】 | ・営業所の所在地を変更する時 ・休憩施設の所在地、収容能力を変更する時 ・車庫の所在地、収容能力を変更する時 |
運送約款の(設定・変更) 認可申請 | 設定しようとするとき 【貨物自動車運送事業法第10条第1項】 | ・国土交通大臣の定めた標準運送約款以外の 運送約款を設定しようとする時 |
運行管理者選任(解任) 届出書 | 選任・解任後遅滞なく 【貨物自動車運送事業法第18条第3項】 | ・運行管理者を選任した時 ・運行管理者を解任した時 |
整備管理者選任(解任) 届出書 | 選任・解任後15日以内 【道路運送車両法第52条】 | ・整備管理者を選任した時 ・整備管理者を解任した時 |
自動車事故報告書 | 事故発生から30日以内(特に重大な 事故事件の場合はできる限り速やかに) 【貨物自動車運送事業法第24条】 | ・転覆、火災、その他国土交通省令で定める 重大な事故を引き起こしたとき |
まとめ
今回は一般貨物運送業の許可について、更新の有無や変更があった際の手続きを交えながら、許可取得後の手続きについておまとめしました。
「変更があった場合についての手続きが相談したい」という方や、「許可取得後の流れについて不安がある」という方は、是非お気軽にご相談ください。
⇓