昨今、車を自分で持たないという考え方が徐々に増えてきたと感じております。
しかしながら車という存在は、まだまだ人々の暮らしから切り離せるものではありません。
レジャーやドライブ、日常の買い物や送り迎え、夜間の急用などまだまだ車の需要は消えません。
そんな時になくてはならないサービスが、レンタカーです。
車を所有することが減っている一方、レンタカーの需要は増えており、この先も需要は増え続けることが予想されます。
今回はそんなレンタカー事業の開業の方法について徹底解説していきます。
レンタカー開業の流れ
早速ですが、レンタカー事業を開業するにあたっては、次のような順序で手続きを進めていくことになります。
- 欠格事由の確認
- 事務所・駐車場の確保
- 車両の選定
- 車両の保険
- レンタカー許可の申請
- ナンバーの変更
- 営業開始
それぞれの手順について詳しく解説します。
欠格事由の確認
レンタカー事業を開業するには、法人か個人でレンタカーの許可を取得する必要があります。
まず最初に法人で始めるか、個人で始めるか決めましょう。
決まったら、個人で申請するならその個人、法人で申請するなら法人の役員が、下記の①~⑥に当てはまっていないか念のため確認しましょう。
これは欠格事由と言い、当てはまっている場合どれだけ準備をしても許可が下りないので、これだけは最初に確認する必要があります。
① 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者。
② 一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しを受け、取消しの日から 2 年を経過していない者。
③ 一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成 5 年法律第 88 号)第 15 条の規定による通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者(当該事業又は貸渡しの廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から 2 年を経過していない者。
④ 一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの監査が行われた日から許可の取消しの処分に係る聴聞決定予定日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者(当該事業又は貸渡しの廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から 2 年を経過していない者。
⑤ 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合において、その法定代理人が前記①及び④に該当する者。
⑥ 申請日前 2 年前以降において、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けている者。
レンタカー許可公示基準より引用
細かい部分はわかりにくいですが、おそらくこの6つを読んで「自分は当てはまっているかも」と思う方は少ないでしょう。
もし、当てはまっているかもと思われる場合は、自分での判断が難しいので専門の行政書士か運輸局に問い合わせるのが確実です。
事務所・駐車場の確保
レンタカー業の許可を取得するためには、最低1つ事務所を設ける必要があります。
ただ事務所といっても、広さに制限はなく、自宅兼事務所でもOKとされています。
そのため、最初から多額の設備投資をせず、スモールスタートを考えている方でも安心して始められます。
ただ一つ注意点があり、レンタカー車両を置いておく駐車場です。
この駐車場は登録する事務所から直線で2km以内でないと、車庫証明が取れないので、離れすぎないように注意が必要です。
最初一台から始めようと考えている方は、自宅の一室と自宅の駐車場をレンタカー事業の施設として登録しておくことで、初期投資を最小限に抑えることがでるのでオススメです。
車両の選定
先程も記載したとおり、レンタカーは車両一台から始めることができます。
そして、必ずしもこの時点で車を購入したり、手元に置いておく必要はありません。
ただし、事前にどの車をレンタカー車両にするか決めておく必要はありますので、車両の目星は付けておきます。
実際に車両が必要となるタイミングは、レンタカーの許可が下りて、「わナンバー」として登録する時です。
ちなみに車両については、レンタカーの許可取得後に随時追加できるので、ここで決めるのはあくまでスタート時の車両となります。
なお、もともと所有している車両をレンタカーにするという場合は、もちろんそれで大丈夫です。
無理にレンタカー用の車両を探したりする必要はありません。
なお、霊柩車やマイクロバスを除くバスは、レンタルカーとして登録することができないので、注意しましょう。
自動車保険会社の選定
レンタカーの許可を得るにあたり、最低限下記の補償内容を満たす自動車保険に加入するよう、法律で決まられています。
- 対人保険 1人あたり 8,000万円以上
- 対物保険 1件あたり 200万円以上
- 搭乗者保険 搭乗者1人あたり 500万円以上
なお、これはあくまで最低限の内容を示したもので、対人・対物は無制限にするのが一般的です。
この条件をレンタカー車両に設定できる保険会社を探し、目星をつけておきます。
保険会社についても、目星をつけておくだけで、この段階で加入するわけではありませんので注意しましょう。
また、既にお手元にある車両をレンタカーにする予定の場合は、現在加入している保険会社にレンタカー仕様に変更可能であるか問い合わせをし、問題なければOKです。
レンタカー許可の申請
ここまで決まったらいよいよレンタカーの許可申請です。
レンタカーの事務所がある都道府県を管轄する運輸支局に申請書一式をもって申請します。
例えば事務所が愛知県にあるのであれば、申請先は愛知運輸支局です。
申請書の様式については、申請先の運輸支局の窓口か運輸支局のホームページにてダウンロードすることができます。
申請書には、目星をつけた車両の情報や自動車保険会社、レンタル料金など、レンタカー事業を行う上で定めるべき事項を事細かく記載します。
申請書の書き方に慣れていないと時間と労力がかかるうえ、業務を行う上での約款も作成する必要があるので、専門の行政書士に頼むのをお勧めします。
不備がなければ、申請から許可までは約1か月ほどで許可証が発行されます。
ナンバーの変更
レンタカー車両は、基本的に「わ」で始まるナンバーになるわけですが、無事に許可が下りると申請をした運輸支局から許可証と一緒に「わナンバー」に変更するための書類が発行されます。
その書類を使って管轄の陸運局にて手続きをすると、レンタカーにする予定の車両を「わナンバー」に変更することができます。
この陸運局でのナンバー変更手続きも、結構複雑であるため、慣れていないと時間がかかることがあります。
心配であれば、この手続きも行政書士に頼むのも一つの手です。
ただ、これからレンタカー業を行うわけですから、こういった手続きも慣れておいた方が良いので、私は陸運局での手続きは、ご自身でされることをお勧めします。
自動車保険の加入
自動車の「わナンバー」登録が完了したら、目星をつけておいた保険会社にてレンタカー車両としての保険に加入します。
繰り返しになりますが最低限つけておかなければならない保証は、次の3つなので忘れないようにしましょう。
- 対人保険 1人あたり 8,000万円以上
- 対物保険 1件あたり 200万円以上
- 搭乗者保険 搭乗者1人あたり 500万円以上
この保険の加入(既に自動車を持っていた方は保険の切り替え)をもって、晴れてレンタカー業の営業開始です。
許可証が交付される際に、運輸支局からレンタカー業を行う上での注意点の案内があるはずなので、それを守って業務を行います。
また、1年に1度レンタカー業の実績に関する報告書を運輸支局に提出する必要があるので、忘れないようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか、今回はレンタカー業を開業するための、具体的な手順について解説しました。
この記事を執筆者である私は、車両関係の許認可を専門に取り扱っている行政書士事務所を運営しておりますが、レンタカーに関する相談は、最近大変増えてきています。
そのことからも、レンタカー業は、今後も需要を伸ばしていく業界の一つだと確信しております。
「もっと具体的に手続きについて相談したい」「レンタカー許可の手続きを丸投げしたい」「レンタカーの申請できる条件を満たしているかわからない」という方は、筆者が運営しているホームページ「愛知の運送業許可ステーション」からお気軽にご相談ください。
専門の行政書士が誠心誠意対応いたします。