5分でわかる!利用運送事業の許可を得るための条件を徹底解説!

初期投資がほとんどかからずに事業を始めるられることから、スモールスタートが可能である利用運送事業。
そしてこの利用運送事業を始めるためには、運輸局の許可が必要となります。
今回はその許可を得るための条件を解説してきます。

はじめに

利用運送には種類がいくつかあります。
まず大きく分けて「一種」と「二種」に分けることができます。
ざっくり説明すると「二種」は、トラックで集配し、飛行機や貨物船、貨物列車を用いて輸送、輸送先からさらにトラックで配送をするといった総合的な輸送サービスを提供する事業です。

そして「一種」はそれ以外の業態すべてを指します。
つまりこれから行うとする事業が、このような複合輸送を一貫して行う事業でない限りは「一種」になります。

さらに「一種」の中にも、どの乗り物を使って荷物を運ぶかというモードという概念が存在します。
トラックを使うのであれば「自動車モード」、貨物船を使うのであれば「船舶モード」といった具合です。
ちなみにモードは自動車、船舶、航空、鉄道の4つがあります。

そして今回解説するのは、最もポピュラーな「一種」のトラックによる運送である「自動車モード」です。
前置きはこのくらいにして、ここからは具体的な許可のための条件を解説してきます。

施設に関する条件

まず最初に利用運送を行うための施設に関して条件があります。
それは、「使用権限がある営業所があること」です。

使用権限があるとはどういうことかというと、単純にその物件を賃貸しているとか所有しているなどして、使用する権利があるという至極当然のことを言っています。

つまり、営業所となる物件を借りるか持っているかしていれば良いのです。
さらに営業所といっても、立派な事務所を建てる必要はなく、自宅の一室やマンションの一室であっても問題ありません。

しかし一つ注意点があります。
施設に関してもう一つの条件「その営業所が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと」というのがあります。
これは何を言っているかというと、その営業所の場所が法律的に問題ない必要があるという事です。

あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、都市の発展や開発の計画を定める都市計画法という法律があります。
その都市計画法には用途地域という制度で、営業所を設けられる場所と設けられない場所が定められています。
用途地域は下記の通り、13種類定められています。

第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
田園住居地域
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域

建築基準法別表第二より抜粋

この中で、基本的に下記の用途地域には営業所を設けることができません。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 田園住居地域

なお、第二種中高層住居専用地域でも、床面積1,500㎡を超えるものや、3階以上の場合はNGです。
また、事務所でここまで広い建物は考えにくいですが、第一種住居地域でも床面積3,000㎡を超える場合も営業所を設けることができません。

営業所の候補地が見つかったら、まず最初に用途地域を調査して営業所として使用しても法律的に問題ないかという確認が必要となります。

人に関する条件

続いて人に関する条件があり、欠格事由というものに該当すると登録を受けることができません。
下記にその欠格事由を載せておきます。
申請する方が個人の場合はその個人が該当してはいけませんし、法人で申請する場合は役員の方が該当してはいけません。

1. 一年以上の懲役又は禁錮この刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者


2. 第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者


3. 申請前二年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者

貨物利用運送事業法 第六条第一項より抜粋

この条件については、該当しているかしていないかだけなので、確認したら次の条件に進みましょう。

資産に関する条件

これが最後の条件となりまして、「純資産が300万円以上」である必要があります。
どのように判断するかというと、法人で申請する方であれば、直近の決算書の中にある貸借対照表をご覧ください。
通常であれば右下のほうに「純資産の額」が書かれていると思いますが、その額が300万円以上であれば大丈夫です。

仮に300万円未満であれば、次の決算で300万円以上になるのを待つか、もう一つ増資するという方法もあります。
増資というのはその会社に現金などの資産を出資して、資本金を増やすということです。
資本金が増えれば、結果的に純資産の額が増加するため、出資額によって300万円以上にすることができます。

なお、個人で申請する場合には、預金や有価証券、不動産などで300万円以上の資産があることを宣誓することで証明します。
ただしこの証明方法については、地域によっては残高証明書の提出を求める管轄もあるため、事前に申請先である運輸局に確認しておく必要があります。

まとめ

条件は大きく分けて3つありました。

施設:使用権限がある営業所があり、適法であること。
 人:申請者または申請会社の役員が、欠格事由に該当していないこと。
資産:純資産が300万円以上あること。

複雑に感じるかもしれませんが、一つ一つ紐解いていけば理解することができます。
利用運送事業について、お手続きを検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

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